【更新料とは?】
更新料とは、契約を更新する際に借主から貸主に対して支払われる契約更新の対価である。
このような更新料が果たしてどのような趣旨や目的で支払われるのかについては、長らくさまざまな議論がなされてきたが、近時の裁判例においては「更新料は、一般に賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するもの」と解されている。
契約書上に更新料に関する定めがない場合
このような更新料について、借主が貸主に対して支払う旨契約上規定されていれば、借主は支払義務を負う。
他方で、契約規定の中に更新料に関する規定が一切ない場合は、借主は更新料の支払い義務を負わない。これは、以下に述べる最高裁判決の理論から導かれる。
まじそもそも、民法や商法においては、金銭の支払い義務などの法的な権利や義務は、当事者間での具体的な合意(契約書の記載)がなくとも「慣習」があれば法律上の義務が発生するとされている(民法92条)。
この点、一般的には、賃貸借契約において更新料の支払いがなされることが少なくないことから、この更新料こ支払いがここにいう「慣習」に当たるかどうか(すなわち契約の規定に明記されていなくとも、「慣習」として更新料の支払い義務が認められるか否か)が争われたのがこの事案である。
同事案について、裁判所は確かに実際上更新料の支払いがなされている事実は存在するものの「慣習」といえるほどまでは成熟していないとして、更新料の支払い義務を否定した。
以上のことから、更新料を支払ってほしいのであれば、貸主は契約書にその旨明記しなければならない。
消費者契約法により無効になるのか
消費者契約法の適用がある借家契約においては、更新料を徴収することについて、その金額にかかわらず借主の利益を一方的に害するものとして、同法10条により無効なのではないかという議論があり、裁判でも数多く争われてきました。
この点について最高裁は、更新料は借家契約を継続するために貸主が受け取るべき対価であり、その徴収自体には合理性があると判断しました。
ただし、その金額があまりに高額であるといった場合に限って消費者契約法10条に違反して無効になるという基準を示し、この議論に終止符を打ちました。
更新料はいくらまでもらえるのか
同裁判で問題になった事案は、月額賃料38,000円の借家で、更新料が1年ごとに月額賃料の2倍の76,000円という、地域の相場(月額賃料の1ヶ月分)よりも高額かつ、支払いの頻度も高いという事案であったが、最高裁はこの更新料規定について同法10条に違反しないと判断している。
このことから、一般に多く見られるように2年に1度の頻度で2ヶ月分程度の更新料を請求する分には問題はないと考えられます。
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