【更新料の不払いによる債務不履行解除の可否】

 借主の更新料の支払義務が契約書で明確に定められていたにもかかわらず、借主がこれを支払わなかった場合に、貸主は契約を解除することができるだろうか?
 この点についても、他の債務不履行に基づく解除の場合と同様に、やはり信頼関係の破壊があったかどうかで解除の可否は決まるということになるが、裁判例を分析すると、借家の場合や更新料の金額が小さい場合には解除は認められにくい、という傾向があるといえる。
 東京地裁昭和50年9月22日判決を参考にみてみる。同裁判例は、借家契約において、借主が更新料(1ヶ月分の賃料相当額)の支払義務を定める契約規定の有効性を争い、裁判上有効と判断されるまでは支払いを拒絶するとして未払いの状態が継続していた状況下において、貸主が債務不履行解除を理由とする明渡しをを求めた事案である。
 裁判所は、更新料の支払義務を定める契約規定は有効としつつも、定められていた更新料は1ヶ月分の賃料相当額と少額であるし、借主は裁判で支払義務が明らかになれば支払う意向を示していたのだから、そのような状況下において単なる更新料の不払いの事実だけでは信頼関係の破壊に至っていないとして、貸主の明渡請求を棄却した。
 最終的には当該事案の個別具体的な事情に照らして、信頼関係の破壊に至ったと評価できるかどうかによって判断が分かれるという点は、賃料不払いなどの他の債務不履行解除の場合と同様である。

不動産賃貸管理のRIEGLE

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