【経過年数の考え方②】
平成23年のガイドライン改訂では、「設備等の経過年数と賃借人負担割合」のグラフが大きく変更になりました。
今まで6年とか8年で残存価値(借主負担割合)を10%としていたものが「残存価値1円」になったのです。
これは平成19年の税制改正に伴ったものです。
ところが、残存価値が1円だと、8年住んだ借主が「1円の負担だから壁に落書きをしよう」というモラルハザードが起きる懸念があります。
そこでガイドラインでは「経過年数を超えた物件であっても、借主はなお善管注意義務を負い、故意過失で貸室に損耗を与えた場合は、例えばクロスの落書きを消すための費用(工事費や人件費)などにつき、賃借人負担となる場合がある」としました。
これの具体的な運用策としては、特約で「借主に故意・過失がある場合は、経過年数による負担割合の減少につき、最低借主負担割合を10%とする」などと取り決めればよいと思われます。
よって「部材の残存価値は1円でも、工事費や人件費の一部として最低10%は借主負担となる」ということになります。
なお、建物の経過年数は「減価償却資産の耐用年数に関する省令」に定められています。
木造住宅22年、鉄筋コンクリート造住宅47年、鉄骨造住宅(鉄骨の厚みにより)19年(3㎜以下)・27年(3〜4㎜)・34年(4㎜超)となります。
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