【経過年数の考え方③】
前回述べたように、借主は内装材の今持っている価値相当額分だけの費用を支払えばよいというのがガイドラインの考え方です。
つまり100%の価値分を負担させるということではありません。
よって、貸主が「新品で貸したから新品にして返せ」ということは、住宅の賃貸借では認められないことになるのです。
もし4年間入居した借主に100%負担させるとしたら、貸主は35%しか価値のないものを新品にしてもらって「ラッキー」ということになり、不当に儲かったこと(不当利得)になってしまうのです。
それでは、もし入居の時にクロスが新品でなかったらどうするのでしょうか。
ガイドライでは、減価グラフのスタートラインを100の価値ではなく、クロスを張り替えてからの経過年数分の価値からスタートさせることにしました。
もし、クロスを張り替えて3年目の状態で入居を始めたときは、入居時点でのクロスの価値は新品の50%ということになります。
つまり、グラフを3年分左にシフトさせるのです。
よって、入居直後にクロスを破って退去した場合は、借主はクロス張り替え費用の50%相当額を負担すればよく、それから4年住んだ場合は、1円相当額だけを負担すればよいのです(特約がない場合)。
クロスで6年、その他耐用年数を経過したものは、残存価値1円となります。
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