【債務不履行解除】
解除が有効になるための要件
そもそも民法上の一般原則として、契約当事者の一方が契約に違反したとき(債務不履行)、もう一方の当事者は契約の解除を求めて解除という手段を講じることができる。これは賃貸借契約においても当然に適用されるルールである。
ただ、不動産売買のように1回きりの契約関係とは異なり、不動産賃貸借契約のような継続的な契約関係の場合、債務不履行解除が有効になるためには、①債務不履行に該当する事実に加えて、②その債務不履行によって契約当事者間の信頼関係が破壊されたといえることが求められる。
さらに解除には「催告解除」(一度債務不履行を是正するよう催告して、それでも相手が是正しないときに解除するという手法。いわばイエローカードの累積でレッドカードを出すやり方)と、「無催告解除」(催告せずにいきなり解除する手法。一発レッドカードで退場させるやり方)がある。
たとえば、後述する賃借権の無断譲渡・無断転貸のように、借主の債務不履行により、貸主に催告の負担を課すことすらもはや酷といえるほどに信頼関係が徹底的に破壊されているような場合には「無催告解除」が可能である。しかし、それ以外の場合は、通常、是正を勧告したにもかかわらず従わなかったことをもって、ようやく解除できるだけの信頼関係の破壊があったとみなされるので「催告解除」が原則である。
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