【共用部分の私物】

 アパート・マンションのような賃貸物件では、入居者同士がいかにトラブルなく共存することが重要となる。貸主としては、他の優良入居者に迷惑をかけるような行為をする借主を追い出したいところである。
 この点、「迷惑行為」といっても騒音や通行妨害、ごみの不始末、嫌がらせ等さまざまな行為が考えられるが、ここでよく問題となりうる、私物を共用部分に放置するケースに焦点をあてて解除の有効性に関する事例をみていきましょう。
①解除を認めたケース(東京高裁昭和61年10月28日判決)
 このケースは、借主が、共同住宅の共用部の廊下に大型のパイプ等の私物をおいて他の入居者の通行を妨げており、貸主からの撤去要請にも一切応じず、やむなく私物を共用部から移動させようとした貸主に対して「少しでも触れたらただではおかないぞ」などと怒声をあげて警察を呼ぶなどした事案である。
 裁判所は、このような借主の行為を常軌を逸した言動と評価し、他人の迷惑となる行為としていささか悪質であり、貸主との信頼関係が破壊されたと判断して、貸主からの解除を有効とした。
②解除を認めなかったケース(東京地裁平成19年1月12日判決)
 このケースは、①と同じく、共同住宅の廊下に、借主がテレビやビデオデッキなど大量の荷物を放置していたことから、他の入居者への迷惑行為を借主が行なっていることを理由に解除に基づく明渡しを求めた事例である。裁判所は、借主がこれら荷物を早急に片づけることを約束していることや、信頼関係はいまだ破壊されておらず、貸主の明渡請求は認められないとした。
まとめ
 以上の裁判例から、共用部への私物の放置が続いたからといって即解除が認められるわけではなく、通行の妨げの程度が著しいかどうか、借主において撤去の可能性があるのかどうかといった点を考慮して、信頼関係の有無および解除の有効性が判断されることになると考えられる。

不動産賃貸管理のRIEGLE

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