【中途解約に伴う違約金②】

特殊事情がある場合(例外)
 さて前回に続き、中途解約に伴う違約金について「特殊な事情」がある場合をみていきましょう。

 特殊な事情がある場合には、6ヶ月分の賃料相当額よりも大きな金額の違約金を有効とした裁判例も存在する。
 たとえば、東京地裁平成25年5月23日判決は、建物の用途が限定されていたことを新たな借主が見つけにくい特殊事情として考慮し、賃料105ヶ月分(約8年9ヶ月)という莫大な違約金を認めた。
 裁判所は、この事案における賃貸建物が「温泉施設」という特殊性を有していたことに着目し、建物は借主の要望する設計・仕様等に応じて建てられたこと、建物は温泉事業以外の目的では使用できず、借主が期間途中で契約から離脱した場合、貸主自らが建物を使用することはおよそ想定できず、また限られた期間の中で新たな借主を探すことは極めて困難であることなどを理由に、貸主の請求した違約金全額を有効と判断した。
 このように、「借主が契約途中で離脱した場合、貸主にとってあまりに酷な状況となる」といえるような特殊事情が存在する場合には、多額の違約金を請求する合理性が認められるため、6ヶ月分の賃料相当額よりも大きな金額の違約金も有効となりうる。
 特殊事情としては、上記裁判例のように①汎用性のないオーダーメイド物件であり、次の借主を見つけるのが困難である場合、が典型例だが、それ以外にも、②借主が契約を遵守した期間があまりに短い場合(例:期間10年の契約で開始1年足らずで解約した場合)、③貸主が借主のために優遇措置を施していた場合(例:期間満了まで入居してくれることを前提に賃料を安く設定していたり、借主に補助金を出していた場合)、などが考えられる。
 このような特殊事情が存在する場合には、貸主が多額の違約金を請求するだけの合理性が存在するとして、より大きな金額の違約金も有効となる可能性がある。
 そして、特殊事情が存在する場合、貸主としては「このような特殊事情が存在するからこそ、中途解約の際にはこれだけの違約金を支払ってもらう必要がある」といった内容を、契約書の規定に明記することが有効である。違約金を支払うことを拒んだ借主に裁判に持ち込まれたとしても、上記の「合理性」を立証しやすくなる。

不動産賃貸管理のRIEGLE

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