【賃貸目的物の一部が使用できなくなった場合】
改正のポイント
災害などにより、借主の責任ではない理由によって賃貸目的物の一部が使用できなくなった場合には、借主としては当然その使用できなくなった部分に相当するだけの賃料の減額を貸主に対して求めたいところである。
このように今までの民法ではあくまで「滅失」の場合のみに限られていたが、たとえば建物自体は存続している(滅失ではない)ものの、漏水によって床が水浸しになっておりとても使用できる状況ではない場合などは、やはり「滅失」の場合と同様に、賃料の減額は認められるべきである。
まだ、平成23年の東日本大震災の折には、節電のための計画停電によって多くの商業ビルで本来の営業時間のうち数時間しか営業ごできないという事態に見舞われたが、貸主側は、建物自体は存続しており「滅失」ではないとして、テナントからの賃料減額請求を突っぱねた。
しかし、このような場合にもテナントは賃料全額を負担しなければならないというのは酷である。
そこで改正民法は以下のとおり「滅失」に限らず、賃貸目的物の一部が使用できなくなった場合でも、使用できない割合に応じて、借主からの減額請求を待つことなく、賃料は当然に減額されるという形に条文を改正した。
賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
改正民法第611条第1項
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額させる。
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