【保証金とはなにか?】
賃貸借契約では、敷金とともに、あるいは敷金の代わりに「保証金」との費目で借主から貸主に金銭が交付されることがある。
この「保証金」が法的にいかなる性質を有する金銭なのかについては、実は一義的に決められるものではなく、契約締結当時の借主・貸主の当事者間の意思によって決せられるが、大別すると、
①「借主の負う債務の担保として交付される場合」と、
②「貸主に対する建設協力金として交付される場合」
の2パターンがある。
①借主の負う債務の担保として交付される場合
この場合、呼び方が異なるだけで法的性質は敷金と全く同一である。
したがって、敷金と同様に考えればよい。
②貸主に対する建設協力金として交付される場合
建設協力金としての保証金の交付は、特にスーパーやコンビニなどの小売店舗を新たに開設するケースなどに比較的多くみられる。
具体的には、土地の所有者Aがその土地を有効活用したいのだが建物を建てるだけの十分な資金がなく、逆にスーパーやコンビニの運営会社Bはその土地で開業するために用いるスキームがある。
すなわち、運営会社Bが、地主であるAに対し「保証金」の費目で建物の建設資金となる金銭を差し入れ、地主Aが土地上に店舗となる建物を建てて運営会社Bに貸し、店舗を開業した後で、AからBに対して返還するというものである。
そして、この場合の保証金は、店舗の開業後一定期間据え置いた後で、時間をかけて分割して返還していくことが多く、またほとんどの場合無利息である。
このような方法をとれば、貸主となる地主Aとしては、利息がない点で金融機関などから借りる場合よりも有利に建物の建設資金を調達することができるし、他方で借主となるスーパーやコンビニの運営会社Bとしては、自らの望む場所に店舗を出店できるという点で、双方にとって利益となる。
このような建設協力金としての性質を有する保証金は、いずれ返してもらう前提で差し入れる金銭であるから、法的には単なる貸金と同視してよい。
こののうに、「保証金」はあくまで貸主・借主の双方の意思の合意で決定されるものであり、その内容は契約ごとにさまざまである。
したがって、その内容が不明確であれば、後で契約終了した際に借主に対する返還義務があるのか否かといった不要な争いの種にもなりかねないことから、「保証金」のような金銭の交付を行う際には、その金銭の目的や趣旨を契約書に明記することが必須である。
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