【収益還元法とは】具体例
前回の続きで具体的な例に置き換えて考えてみます。
築年数10年、満室時年間家賃が360万円、運営にかかる経費が年間30万円のA、B2棟のアパートが売りに出ているとします。
A:ある地方都市の郊外の畑の真ん中に立地(駅から徒歩30分)
B:超都心の好立地(駅から徒歩5分)
このA、Bのアパートはそれぞれいくらの価値があるでしょうか?
①Aのアパート
・周辺の賃貸事例を調べると、平均の空室率が25%→I=360万円×75%−30万円=240万円
・この地区は数年来人口も減少している地域で、駅からも遠くてリスクが高そうです。
そこで、最低でも15%の利回りは欲しいと投資家が考えれば、この物件の価値は、V=240万円÷15%=1千600万円となります。
②Bのアパート
・周辺の賃貸事例を調べると、空室率は平均で3〜5%→I=360万円×95%−30万円=312万円
・立地も良いし、空室リスクも少なく安全性が高そうなので、6%くらいのリターンで十分だと投資家が考えれば、この物件の価値をAアパートと同じように計算すると、V=312万円÷6%=5千200万円となります。
Aアパートの検討は、リスクが高い→キャップレート上昇→物件価格下降
Bアパートはリスクが低い(安全性が高い)→キャップレート下降→物件価格上昇といった流れです。
同じ築年数で満室時の年間家賃が同じであっても、これほどの差が出るのです。
利回りは単純な計算で求められるので不動産投資の指標として幅広く使われていますが、単純な分、指標としては甘い部分があります。
不動産投資を行うにあたって、利回りの高低に惑わされることなく、まず「利回りが高い=リスクの高い投資」という感覚をお持ちいただければと思います。
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