【最近の敷金精算をめぐる裁判の傾向】
敷金精算をめぐっては、金額がさほど多くはないので、簡易裁判所で争われるケースが多いようです。
特に関西では集団訴訟が提起され、マスコミにもときどき報道されています。
また、少額訴訟制度による裁判も多数見られるようになってきました。
これまで多かったのは特約をめぐる争いです。
関西地方では「敷引き特約」とか「敷金の償却」という慣習があり、これが長らく争われましたが、平成23年の3月と7月に最高裁判所で判決が出て決着しました。
また、普通に賃貸住宅を使用した結果生じる「経年劣化」や「自然損耗」を借主に負担させる特約の有効性についても争われています。
特約をめぐる争いについては、平成17年12月16日に最高裁判所で判決が出ました。
この裁判の事例では「公社が作成した修繕負担区分表による特約が有効に成立したとはいえない」として借主が勝訴しました。
しかし、裁判理由のなかで注目すべき記述があります。
それは、「原則として特約は契約自由の原則により有効だけれども、本来貸主が負担する自然損耗や経年劣化による損耗を借主に負担させるには、その『特約により借主が負担する』という趣旨が『一義的に明白』であること等の条件を満たすことが必要」との判断を示したことです。
わかりやすくいうと、「一義的に明白な特約など」をよく説明して締結すれば「特約は有効である」と最高裁判所が明確に判断をしたということです。
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